Hi-Fiと個性

せっかくカテゴリーで分類できるようになったのだから
オーディオ関連の文を書いてみよう。


巷では、比較的単純に
「高音質」
という言葉が使われている。
でも、じゃあそれってどういうことなのか?
と問われると答に窮する人も少なくないのではないだろうか。


大まかに言って、
音を評価するポイントとして僕が考えるのは

  • 高物理特性(Hi-Fi)
  • それ以外の複雑微妙な要素(「個性」と呼ぼう)

です。
巷で出回っている簡易なオーディオ機器の場合、
複雑微妙な要素である個性は表現されず、
もっぱら物理特性のみが問題となる。
なぜか?
「個性」は再生される物理特性がある程度のレベルに達して
はじめて現れてくる要素だからです。


ありがちなのは、様々なスピーカーを鳴らして
「このように、スピーカーを変えれば様々な音で鳴ります。
ですから再生音というのは好みの問題であり、
値段の高いオーディオ機器が必ずしもよいわけではありません」
と聞いて
「なーんだ、それじゃあ値段が安くてもいいものはあるわけだ」
と解釈されてしまうことです。
この判断には物理特性と個性の違いが考慮されていません。


傾向としては、値段が高いものほどHi-Fiです。
例えば5万円のオーディオ機器と50万円のオーディオ機器は
かなり物理特性の点で開きがあります。
おそらく、きちんとセッティングしてやれば
ほとんどの人が50万円のオーディオ機器を「よい音」と言うでしょう。
5万円のオーディオ機器の個性など微々たるもので、
値段の差による物理特性に容易にマスキングされてしまいます。
「5万円のオーディオ機器の物理特性と個性」が
「50万円のオーディオ機器の物理特性と個性」を上回ることは、
たとえ自分にとって5万円のものの個性が合っているとしても難しいのです。


ここまでをまとめると、

  • オーディオ機器の尺度には、物理特性・個性がある
  • 基本的に値段が高いほどHi-Fiである(ただし「当社比」で)
  • 正しく個性の差を評価しようと思えば、物理特性のレベルを合わせてやる必要がある

ということです。
さらに言うなら、値段が高いほど個性がよく出てくる傾向もあります。
これについてはまた今度。