5.1chサラウンドのホント、ウソ

5.1ch サラウンドは「音がいい」か

CD並みの高音質、5.1chによる臨場感溢れるサウンド−−−よく聞きますねぇ。実は臨場感って用語はピュアオーディオではあまり使わないのですが。


正直に言ってしまうと、5.1chで音が良くなるかは、微妙です。ピュアオーディオの世界では、「音質」と「音の出方」をある程度分けて話します。どういうことかというと、スピーカーが多いことで色々な方向から音が出てくることは、音響効果としては従来の2chオーディオと相当異なる部分があるかと思いますが、「音」そのものの純度がそれによって上がるわけではありません。使うスピーカーがそれなりのものでなければ質感を高めることはできないのです。だから僕などは、ひねくれておりまして、確かに音響効果としては面白いけど大して音がよくない5.1chをいくつも聴いたことがあります。これにはいろんな理由があると思いますが、2chと同等のスピーカー、アンプを使ってもチューニングするのが難しいのです。オーディオってのはセッティングが大事で、デタラメな位置にオーディオ機器を設置しても決してまともな音にはなりません。特にスピーカー。数学の連立方程式を解くのと同じで、変数が多ければ多いほどまともには解けなくなっていきますね。それと、僕の経験ですが、5.1chにするときはあんまり横幅の広い、ごついスピーカーは合いません。なるべくコンパクトで、音のフォーカスに優れたモノの方がマルチチャンネルの効果を実感できます。


僕が今後注目しているのは、日本の狭い住宅事情にも合った、擬似5.1chってやつです。marantzのopsodisとかね。スピーカーは2chでもサラウンド効果を実現できてしまうのです。これならスピーカーもそれなりにお金がかけられるし、サウンドプロセッサーひとつで切換えができるので便利。まあでも自分はまだまだ2ch派ですから、当分導入することはないでしょうけど。


あと、付け加えておきたいのは、0.1chに数えられるサブウーファーウーファーつけたら低音が増強されて音がよくなる、そう考えている人も多いでしょう。でもこれも単純でない。いい低音とは、引き締まって無駄に広がらず、なおかつ体に響くS/Nの高い低音。それでいて量感に富んでいる。そういう低音です(arlin談)。市販のサブウーファーで比較的反応が早くて質の良い低音を出していたのは、「ECLIPSE」シリーズのものだけだったかなぁ。下手に導入すると全体のバランスが崩れて聴けたものではなくなってしまう。ズンドコズンドコさせていればいいってものじゃあありません。量感にだまされるようであってはいけない。良質な低音を得ることがサブウーファーの目的であることを忘れてはいけません。