SACD/DVD-Audioのこと
次世代オーディオの役割
SACD(スーパーオーディオCD)、DVD-Audio・・・これらの次世代メディアと呼ばれるフォーマットは、当然従来の16bitリニアPCM/サンプリング周波数44.1kHzのCD-DA規格よりもスペック的に優れています。DVD-Audioは CDと同じPCMで量子化ビット数24bit/サンプリング周波数96kHz・192kHzなどですが、SACDの方は量子化ビット数1bit/サンプリング周波数2822.4kHzであり従来のCDとは異なる規格となっています。もちろんスペック的に大きな器を持った次世代メディアは当然再生周波数も高域まで伸びますし(周波数特性の向上)、ダイナミックレンジ(音レベルの最大値と最小値の差)も広く取ることができます。当然音も変わってくる。
でも、でもです、これらのフォーマットの差が全然わからない、わかりにくいと言う人が圧倒的に多い。いえ、無理しなくてもいいんですよ? 比較試聴をやってもらってどうもわかりにくいけどなんか違う気がするから「違いがわかる人?」と言われて手をあげる必要もないんですよ。確かにわかりづらいんです。CDをはるかに凌ぐスペックを備えながらも、人々に十分理解されていない次世代メディア。なんだかかわいそうですね。仕方ないので、僕が感じる音の違いでも率直に述べてみることにしましょう。
高域が伸びるためスーパートゥイーター(超高域再生ユニット)が必要?
よく言われるのが、周波数特性の拡大によって高域が伸びるため音がいい、ってやつ。でも何度も言いますが、音というのは複雑微妙なもので、そんな高域が伸びたからといっていきなり音がよくなるわけはありません。このブログを読んでくれている皆さんならわかりますよね。スペックが音質を物語ることはあっても、リニアに追従するものではないことが。超高域(通常は20kHz〜)はふつう耳には聴こえません。スーパートゥイーターを導入することがSACDを楽しむ手段ではありません。実はSACDなどでは、高域が伸びるというよりも可聴帯域の音質が向上しているのです。でも実際に聴いたら全然わからんと。まだ説明は続きます。
音質の差はすべての音楽ソースで出るわけではない
誤解を恐れずに言います。ポップスや電子音楽ではフォーマットによる差は感じ取りにくく、クラシックやジャズは感じ取りやすい。おおまかにはそう言い切っていいと思います。理由はいくつかありますが、そもそも録音に注ぎ込んでいる力が違う(ほぼアコースティック楽器のみのジャズ・クラシックでは音質に気を遣っているものが多い)、音楽を聴く装置のレベル差がある(ポップスのみを聴くのに何十万もするオーディオ機器を使用する人はいないでしょう)、などが主な理由です。そう、音楽機器が悪ければスペックの差など感じにくくなってしまうのです。これはある意味当然で、もともと次世代メディアってのは音質重視の人のために作られた規格であるからです。それでも、セキュリティなどの関係からも僕はSACDへの移行は有益だと思うのですが。
じゃあ、具体的にどう音は違うの?
全体的に共通して言えるのは、
☆ 解像度の高さ(S/N・ダイナミックレンジ等の向上によるもの)
☆ 質感(より自然な音色・肌触り)
☆ 空気感(とくにSACDにおいて顕著)
☆ 枠を取り払ったかのような、開放感のある伸びやかな音