カーオーディオについて


今日はサイクルモード2008だったのだけど、
またその話は別の日にします。


それよりも、一度「カーオーディオ」について少し考えてみる。


まずは、「ホームオーディオ」との比較というと、
いくつか車に乗って、例えばクラウンのプレミアムサウンド
市販のスピーカーをきちんとセッティングしているものなどを聴いてみた。
結論を言えば ホームオーディオとは依然として大きな隔たりがある、
そしてその差は永遠に埋まらないのではないか、というのが実感です。


まあ、未だに音がよいという条件ははっきりしないのだけども、
少なくともテキトーに作ったものがいい音がする可能性は極めて低いだろうということは、
あれだけこぞってプロのオーディオメーカーが頑張って日々進化していても
まだ改善の余地が多く残されていることを考えてみても分かる。
つまり、ある音響理論に基づいて、素材、工法、技術を突き詰めて
一つずつ積み上げるように音作りをしていくため、当然ながら「偶然」はない。
それだけ努力した結果、「偶然」音がすばらしくいい、ということはあるのかもしれないけど。
だから電子パーツ屋さんで買ってきた1000円にも満たないスピーカーユニットを
ベニヤ板みたいなぺらぺらなもので作ったエンクロージュアに取り付けても当然いい音が出るはずがない。


音は、基本的にスピーカーシステムでその方向性と全体の質が決まるといっても良い。
そのスピーカーを鳴らすためのアンプであり、プレーヤーなのである。
であるから、やっぱり優先順位は


スピーカー > アンプ・プレーヤー


なのである。それを考えるとカーオーディオで高音質を実現しようと思ったら、まずはスピーカーがよくなくてはならないことになる。
ところが一般的に、市販のハイエンドならまだしも、純正のユニットはあまり質が良くないことで知られている。
それはオートバックスなどに行けば「純正ユニットを市販品に換えましょう! 音質が向上します!」と宣伝されていることからも想像できる。
(ただ単純に市販のスピーカーを売りたいためかもしれないけど、僕が聴き比べても市販の方が良いと思った)
純正のユニットは車とセットで考えられるため、当然コスト的にはあまり高いものが使えないこともわかるし、
車の雰囲気などを考えれば、素材なども限られてしまう(例えば、黒基調のシックな社内にケブラーの黄色などはあまり似合わないと思う・・・)。
なら、市販の最高級ユニットならどうか?
僕が聴いた中で一番良かったアルパインのユニットならどうだろう。


カースピーカー DDリニア | DLX-Z17PRO | ALPINE Japan
http://www.alpine.co.jp/products/speaker/ddlinear/2006/dlx-z17pro.html


これを1ペア使って2chで20万円か。
ホームオーディオで言えば、比較的安価な部類に入る。
ちょうど僕の現用スピーカーであるディナウディオ「Audience 52 SE」と同等の値段ですから。
ヘッドユニットもまあ同レベルのものを使い、パワーアンプも調達したとして、合計で60万程度か。
ホームでは本格オーディオ入門セットなのではないだろうか。
レベル的には僕の自宅と同等レベルの音が出せるはずです。


でも、結局なかなかいい音にはならないのが現実。というのが、

  • 電源が弱い(カーバッテリーのみ)
  • 音響空間が狭い
  • 周りがうるさい(走行音、周囲の雑音)

電源の弱さは音の余裕度のなさと質感の低下につながるし、なにより音響空間の狭さ、いびつさは大きなハンデとなる。
ホームオーディオに比べて、この「部屋の違い」がカーオーディオの質を大きく落としていると思う。
補正するにはイコライザーを使ってDSPで強制的に音場を制御するしかない。
また、走行音の問題は想像以上に大きいと思う。
ホームでは、エアコンの動作音、風の音ですら、ダイナミックレンジの広い曲では邪魔に感じられるほどの静寂を要求される。
試聴会でも周りでごちゃごちゃしゃべっている連中をよく見かけるが、あれなど追い出したくなる典型例である。
みんな神経を集中して音楽を聴いているのに、聴こえないと思っていたら大間違い。
つまり、電源の問題は根本的に解決できないにしても、DSPによる音場制御、周囲のノイズのシャットアウトがまず必要で、
なおかつ上記のようなハイエンドシステムが要求されるわけです。
はっきりいって厳しい状況・・・。


よくあるのが、スピーカーもあまりよくなくてヘッドユニットもアンプもそれほどコストをかけられないので、スピーカーの数を増やして音場制御でなんとかしようとするケース。
勘違いしてはいけないのは、音質と音場は、厳密には分けられないけども、分けて考えるべき概念だと言うこと。
2chでまともな音が鳴らないのに、5ch、10chにしてもいい音が鳴るわけがない。
それに、本来、音場や定位というものは、音の「質」を高めること、非常に微小な音楽信号を漏らさず再生することから再現されるものであって、
マルチチャンネルの特殊効果で作り上げるものではないのである。
その証拠が、土曜日に聴いたピュアシステム(2ch)のあのナチュラルで上質な空間感。


やっぱりカーオーディオでよい音を出すのは一筋縄ではいかないようです。
カーオーディオメーカーだけでなく、ホームオーディオで実力のあるメーカーも協力しなければよい音は難しいのではないだろうか。
その代表がハーマンやマークレビンソンなのかもしれないけど。
あまり期待せずにw様子見していようかと思います。