音楽鑑賞に関する雑感(2)


今日はやけに音が暴れます。
怒涛のごとく音の洪水、といったらよいのか、ハチャメチャな音です。
NeutronStarの音の変化の過程なのだろう、音は相変わらず不安定です。


そういえば、前回は「ビジュアルマニア」について少し書きました。(違うか?)
でもまあビジュアルマニアの方がオーディオマニアよりは受けがいいのです。
それは、画質のよさというのは、視覚ではっきりと認識できるためわかりやすいからです。
コントラストや解像度などは、色の好みを除けば、特に解釈に迷う概念ではないでしょう。
こっちは解像度は劣るが味がある映像・・・などといった感想はまず聞いたことがありません。
色については好みがあると思うのでなかなか一筋縄にこれが良い! とはいえないところがありますけど。


さて、音楽鑑賞を趣味としている人の中で、音に気を遣っている人がどれくらいいるでしょうか?
比較的本格的なオーディオを持っている人だけがそれに該当するわけではないとすると、まあまあいるでしょう。
具体的に数値では示せないですが・・・
まあ、簡単に分けてみると(お決まりのセリフ、独断と偏見で)

  • A 音楽100%(完全な音楽愛好家。音にはまったく関心がなく、聴くことだけに集中している人)
  • B 音楽80%、オーディオ20%(音楽愛好家で、一応音には気を遣っている人。「ボーズ」などのメーカーを知っている)
  • C 音楽70%、オーディオ30%(音楽愛好家で、音には気を遣っている人。「JBL」「マークレビンソン」「ハーマン」などハイエンドらしき名前を知っている)
  • D 音楽50%、オーディオ50%(音楽愛好家で、オーディオファン。国内外の専業メーカーについてかなりの知識がある)
  • E 音楽40%、オーディオ60%(音楽はまあまあ聴くが、オーディオに偏りがち。国内外の専業メーカーについての造詣が深い)
  • F 音楽20%、オーディオ80%(音楽の優先度が小さく、再生音の充実に傾倒している。オーディオについてマニアックな知識をもつ)
  • G オーディオ100%(自他共に認めるオーディオマニア)

なんてところだろうか。僕はなるべくDでいたいところであるけど、現実的にはなかなかこんな絶妙なバランスをとるのは難しい。


しかしながら、Gの人は見たことないですね。AはiPodオンリー、聴くことが愉しみな人。アーティストへの傾倒もありうるかも。現実的にいそう。
オーディオに執着のある人は、大体EとかFかな。でも別に悪いかというとそうでもないと思う。
僕がちょっと嫌だなと思うのは逆にBとかCのタイプ。中途半端な知識で「ボーズって音がいいよ」「マークレビンソンってやっぱり別格だね〜」なんてのたまう連中。


こんな分類してみたそばから言うのもなんだけど、こんな感じで単純に%で割り切れないところはあると思うんだ。
最初はあまり音楽を聴かなかった人がオーディオに目覚め、そこから音楽へ関心を持ち始め、結果的に音楽愛好家になってしまう人もいるし、
最初は流行歌などにしか興味がなかった人が友人の誘いでオーディオに目覚め、オーディオの面白さを知ると同時に音楽の持つ奥深さに魅了された人もいる。
後者は、ほかでもないこの僕なんだけど。
オーディオは音楽鑑賞を楽しくすることにとどまらない。
普段何気なく聞き逃していたアーティストの繊細な表現。「あっ、こんな音が出てたんだ」「よく聴いてみるとバックでバイオリンが鳴ってる。それにあわせるように他の楽器も動いていて・・・」そんなことは、オーディオシステムをグレードアップしたときにはよく起きます。手持ちのディスクをどんどんと聴きなおしたくなります。
今までは何を聴いていたんだ! とさえ言う人もいます。
音楽の真の姿に迫るということは、そういうことなんだと思います。


ありがちなのが、そういったオーディオファンに対して「音がよくないと音楽を楽しめないのかねぇ」と半ば軽蔑しながら言う人がいること。
まあでもそこは言い訳させてください。それは、あたかもその辺の居酒屋やファミレスで十分おいしいと感じている人が、料亭に行ってなんだか堅苦しく料理を堪能する人を半ばあざけって言うことに似ている! ちょっと違うか。まあいいや。
菅野沖彦氏が「レコード演奏家論」で、オーディオこそが理想的な音楽鑑賞を可能にする、とおっしゃっているけども、
真剣に考えなくたって音は悪いよりいいに決まっている。まずい料理よりおいしい料理の方がいいでしょう。楽しめる度合いは人によって違うと思うけど・・・
想像力で聴くから音なんて悪くたって・・・というなら、あなたは大画面ハイビジョンで見る映画の楽しみを、白黒の旧型ブラウン管テレビで見る映画で同じくらい感じられる幸せな人です。
こうして映像にたとえると分かりやすいのだけど、オーディオは耳(だけでなく体感もあるけど)で聴く、目に見えない抽象の世界。
でも、映像が「何か」の上に表示させるのに対して、音響というのは、実際の音と同じ「音波」であり、媒体は同じなのです。
だから映像が「まるでそこにあるかのように・・・」というのと、オーディオで「まるでそこで演奏しているかのように・・・」という表現では次元がちょっと違う。
オーディオの場合はカーテンでもしていれば本当に演奏しているのではないかと思わせることも可能だと思います。
そして音楽鑑賞とオーディオのコンビで得られるのは、「音楽だけを聴ける時間」。
そこで音楽の奥深さや繊細さ、演奏家の想いが伝わってくるのを感じるでしょう。
生きた音での音楽再生は、何物にも代えがたい魅力に溢れています。
よくあるキャッチフレーズ、「あなたの部屋がコンサート会場になります!」あれです。


(つづく、かも)